パッチワーク・キルトを通じて、世界の人々と心通じ合う交流をしよう
2006年3月20日
右側が キルト作家「こうの早苗」先生

柏高島屋 NHK「おしゃれ工房」手芸フェスティバルに参加のキルト作家「こうの早苗」先生を訪ねました。

NHK「おしゃれ工房」をはじめ各方面で活躍中のキルト作家「こうの早苗」先生と、“海外でのキルト交流”についてお話をすることができました!

私も母も、こうの先生の大ファン。ハートやバラ模様など愛らしいアイテムをモチーフにした先生のキルトには全国にファンがいて、福岡県にあるこうの先生のアトリエには約200人の生徒さんが全国から集まって、キルトのお稽古に励んでいらっしゃいます。

こうの先生の活躍の場は国内だけにとどまらず、海外のキルト作家や愛好家の方々からの招きを受けて、よくいろんな国のキルターの方がたとの交流をされていらっしゃいます。つい先日も、オーストラリアはメルボルンにあるキルトショップからの招きを受けて、2日間という短い滞在の中で、ワークショップ等のキルト交流イベントを行われたとのことでした。

先生に「英語でコミュニケーションを取られるのですか?」とお聞きしたところ、にこっと笑って、「私は英語は簡単な挨拶以外だめですよ。でも、実際にキルティングをするところを見せるだけで、大体の意思の疎通は図れるから不思議ですね。細かいニュアンスはやはり言葉で伝えなくてはいけないのですが、「キルト」が共通語になってとても楽しくコミュニケーションが取れるのです。」とおっしゃっていらっしゃいました。

キルトと一口にいっても、使っている布の素材が異なったり、伝統的な模様があったり、そんな違いを知り合いながら一緒に好きなことを楽しめる。パッチワーク・キルトが国境や文化を越えた交流のお手伝いをしているのですね。

こうの先生は、海外に出るといろんな刺激を受けるとおっしゃいます。それも、パックツアーやお決まりの観光旅行ではなく、自分の足で現地の空気を楽しめる海外。例えば、忙しいスケジュールの合間を縫ってパリに一人で旅行に行かれた際には、一日を自分の足でどう過ごすかをまず考えるそうです。最初にあのお店で花瓶を買って、その後あのお花屋さんでその花瓶に生けるお花を購入して、次にかわいい布が売っているあの店に行って・・・。その行動を一人で行うために、必要最低限のフランス語をホテルの部屋で暗記して、いざ街へ繰り出すそうです。そんな風に無理せず自分のペースで海外の空気を体で感じる。そこからまた、新しいキルトへのインスピレーションやアイデアを得ていらっしゃるのだと思います。

また、こうの先生に「今度はどんなことを海外でしたいですか?」とお聞きしたところ、こんな答えが返ってきました。
「興味があるのは、ブルガリアのバラで有名な村でのんびり地元の方と一緒に生活すること。バラの栽培やバラ水作りをお手伝いをしながら教えてもらいながら、自然とともに暮らす時間を楽しみたい。そのお返しに夜や空いた時間にキルト作りを教えたり作ったりしてあげたい。同じキルター同士でなくても、お互いに得意なことやできることを通じて交流が持てたら素晴らしい。例えば、フランスのシャトーでワイン作りを学びながら、キルトをするのもいいかもしれない。」

キルトの知識や技術を体得し、新しいアイデアを得ることだけが目的ではないのですね。キルトは世界中の様々な場所に暮らす人々とのコミュニケーションの手段。そこからさらに広がる交流にこうの先生の目は向けられているようです。

最後に先生はこうおっしゃいました。
「言葉が通じなくても、針を通して形を作りあげていくその過程で、たくさんのコトバを交わしている気がします。子育てのことや普段の暮らしのこと、自分たちの国の政治や文化などをお互いに知り合ううちに、世界のどこに暮らしていてもみんなが願うことは「ごく穏やかで平和な毎日を送ること」だと気づきました。そして、そんな世界にするためにはどうしたらいいのだろう、ということにまで考えが及びます。キルトを通じて、海外に暮らす人々とそんな心の交流ができるなんて、本当に素晴らしいことだと思います。」

今回お会いできたことで、私たちiiPが海外のキルターと日本のキルト愛好家の方々との交流をお手伝いしていることをこうの先生にも知っていただくことができました。「そんな海外でのキルト交流の機会を待っている日本のキルターの方々がきっといらっしゃいますよ。」とこうの先生に励まされ、ますます日本と世界各地のキルトを通じた交流の力になりたい、と強く思いました。

末筆になりましたが、忙しい中、気さくに耳を傾けてくださったこうの早苗先生に、心から感謝いたします。こうの先生の益々のご活躍を心よりお祈りし、一ファンとしても楽しみにしています。
http://www.paindepices.jp/profile/index.php <== キルト作家「こうの早苗」先生のホームページ