話さなければ相手に伝わらない。 語学力アップにもつながる環境 高坂千夏子さん |
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ドイツ | |
高坂さんの派遣先はドイツ中央部ヘッセン州のシュパンゲンベルク。美しいメルヘン街道沿いにあって、中心地には城壁に囲まれた古い町並みも残る人口3000人の保養地だ。大学の第2外国語でドイツ語を選択した高坂さん。在学中に体験した語学留学は寮生活で、今回は初めてのホームステイ。「ドイツって皆さんがイメージしている通りの国なんです。ゴミ収集は有料だし、政治的関心は高いし、魚の骨は全部きれいに取り除いてから食べる(笑)」誰もが議論好きだから、パーティーなどでも4,5人が同時に喋っていて、何が何やらわからなかった。「ひるんでいると同意していると思われるし、途中で介入しないと話すチャンスがないんです。でもおかげですっかりヒアリング能力がつきました」9ヵ月のインターン後に受けたドイツ語の中級修了試験ではgut(good)に合格。これは大学入学資格にも通用する“どこに出してもいい”レベルである。受け入れ先は北海道の帯広の中学校と隔年毎に交換留学をしている総合学校。ここで日本紹介の授業をするには、6歳から10年生までの全70クラスのスケジュール表をにらみながら、規定の授業の合間にある空き時間を自分で見つけなければならなかった。「自分から積極的に動かない限り、授業が成り立たない。助けてほしい時も、軌道にのったとホッとした途端に時間割を変更されて困った時も、口に出さないと相手には伝わらない。それがわかりました」些細なことが積み重なってストレスがたまり、ホストマザーとぎくしゃくしたこともあった。相手が自分を攻撃しているのではないかという思い込みですれ違い、3日目、ついに爆発して二人して泣く。互いの気持ちを話すことができ、やっと仲直り。「掃除をする時間がないことに罪悪感を感じてしまったり、日本流に気をまわし過ぎてかえって不安になった。私はもともと日本語でもすぐ口に出すほうなのですが、結局それがよかったんだと思います」北のドイツから帰国して2年、春からは日本語教師としてタイの大学に赴任する。日本流でもドイツ流でもない、また新しい南の熱い風。今度はどんな人との出会いが待っているだろうか。 |